精霊


 那須にキャンプに行った時、家族が寝てから1人で焚き火に当たりながら星を眺めました。流れ星がいくつか流れて、炭火が消えていくまでの間、暇だったので近くに生えてたどんぐりの木にyieldしてみました。

しばらくしたらどんぐりの木からざわざわ…と葉音が聞こえてきました。地面に近いとこは無風でも、梢の方は風が吹いているのかな。それともyieldで聴覚が開いてそう感じるのかもしれない。

そう思いながらyieldしてたら、だんだんざわざわが広がってきました。最初は3本並んだどんぐりの木。それから森全体がざあざあと。

大風みたいな音なのに風は全くなくて、森が話をしてるみたいだなあと思いました。テントに入ってもテントシートは全く揺れないのにざあざあ森中から音がして不思議だった。すぐ寝ちゃったけど。

先日、「カナルタ」というアマゾン熱帯雨林で古くからの生活スタイルを大事にして生きるシュアール族の人達の生活を映したドキュメンタリー映画を見に行きました。村の治療家みたいな人が新しい薬草を見つけるために口にその草を含んで味わっていたら急にざぁーっと森のざわめきが聴こえる場面があって、森と一緒に生きてる人たちはああいうのを森の精霊みたいに感じたりしたのかなあと、少しだけわかる気がしました。

生活が違えば全く異なった知覚世界があり、その知覚世界の中でこそ立ち上がってくる風景もあるんだろうな。



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