花火


 近所の幼稚園の夏祭り。小さな花火が上がって、風にのって子供達の歓声が聴こえる。

夏休みの始まりに、子供達がお友達と集まって花火を眺める楽しみを確保するために、先生たちは心を砕いたのだろうなあと思う。

前にもこんな風にベランダから花火を眺めたことがあったなあと、ふと思い出しました。

鮫洲のマンションに住んでいた頃、お台場の花火をベランダから眺めていたらお隣のおばあさんと目があって「綺麗ですね」と少しだけ言葉を交わしました。彼女は末期の癌で、きっと自分が過ごす最後の夏になると知っていたんじゃないかなと思う。花火が終わっても静かに空を眺めてらっしゃったので、声をかけずにそっと部屋に戻った、あの夜みたいな気配がする。

生きている時間の密度みたいなものがフッと濃くなるとき。不思議だなあと感じます。

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