闇の中で



ダイアログ・イン・ザ・ダーク「内なる美、ととのう暗闇  五感」に行ってきました。

純度100%の闇に入ると自分の目が視覚情報を求めて必死になっているのがわかる。自分の輪郭も空間の広がりも闇に溶けて、「自己」の位置が曖昧になる。

小さな小石を掬ってざらざらと自分の腕にかけると、小石が当たった点にパチパチとくっきりした「自己」が現れるのが面白くて暫くそれをしていました。

感覚を通じて私は対象との関係を感じていて、それが「私」という存在を浮かび上がらせているんだなあ。

水に触れれば水との関係性との中で立ち上がってくる私。

風に触れられれば風との関係性の中で立ち上がってくる私。

仏教で言われる「縁起」というのはこんな感じを言うのだろうか。

風は闇の中では水と同じように質量を持った確かな存在に感じられる。

見えることで不確かに感じられている存在があるのだということ。

食べ物を食べると消化器の感覚が出てきて、自分の内側のスペースが確かになって正中の感覚が出てきた感じがしたり。

触覚、聴覚、空間感覚、嗅覚、味覚…。色々な感覚を味わう程に身体がはっきりしてきて、最後は見えないのをいいことにゴロゴロしてみたり、腕を回してみたり、身体を動かしてみて自分の位置を感じることを楽しんでいました。

闇の中で感じる感覚はいつもよりも近く親しくて、それも凄くたのしかったなあ。また行きたい。もっと長時間闇の中で過ごしてみたい。

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