Yieldingと関係性

 

 yieldをお受けくださった方から、「家族や周囲の人との関係性が変化した」というようなご感想を頂くことがあります。私自身もyieldを受けてきた中で実感があり、それが何故なのか不思議に感じていました。

最近田畑さんが「ロルフ・ムーブメント ワークショップ」というグループの中でyieldingと「関係性」についての文献の引用をしてくださっていました。

yieldという動きが「能動的」であるということが非常に興味深く感じます。「能動的に受動の状態で在る」ということは、パフォーマンスを上げるための鍵になっているような気がする(パントマイム、古武術、施術などの稽古の経験を通じてそう思います)からです。

また、人と関係性を結ぶこと、相手を受け入れ交流することにもその姿勢は必要なものに思われます。パントマイムも古武術も施術も相手との交流が発生するものですし、そもそも身体を動かすことには自分自身との関係性が大きく関わるように思います。

以下、その文章を貼らせていただきます。

『Yieldingに関して

イールドは、最初の発達段階の動きです。しばしば受動的に明け渡すことや「何もしないこと」と誤解されますが、実際にはイールドは能動的に関係を結ぶことであり、他のすべての動作の基礎となる基本的な動作です。母親の胸にしっかりと抱かれている乳児のイメージを思い浮かべてみてください。2人の間の非常に具体的な接触を感じてください。乳児がこの接触に身を任せているときは、乳児の筋緊張がぐにゃっとなったり、母性的な結合がないために虚脱しているのとは質的な違いがあり、感覚があります。


"ゆだねることは、他のすべての発達上の動きや、世界に対する私たちの基本的な関係の基礎となっています。" - スーザン・アポシャン


イールドという動作は、私たちを環境に接触させ、自分の体重を重力に解放させます。体の重さが重力に委ねられると、それに応じて体の構造が浮き上がるような感覚が生まれ、他のジェスチャーや動きの表現をサポートします。

ゆだねることは、内受容感覚(身体の内臓や内部組織から生じる感覚を読み取り、解釈する能力)の鍵となります。ゆだねることは、意識をサポートし、私たちの内面に対する理解を深め、豊かさを保証する行為です。ゆだねるという動作は、感覚の展開を促します。これらの感覚が楽しいものであれ、怖いものであれ、悔しいものであれ、楽しいものであれ、苦しいものであれ、私たちはその瞬間の快適さや不快さに身を任せ、自分の経験の真の根拠と向き合うことができます。ゆだねることで生まれる身体的理解は、表現へと流れていきます。ゆだねる瞬間、つまり地面に身を任せることを一瞬でも意識することで、動きの神経学的な経路を再構築し始めます。ゆだねることは、動きの表現を決定づける緊張のパターンを変えるために不可欠な要素です。


21世紀のテクノロジーに囲まれた文化では、ペースの速い生活の中で、「ゆだねる」能力が欠落しがちです。私たちは日々の忙しさに追われ、自分の体の重さや環境の資源といった支えから離れてしまいがちです。その支えとなるのは、カートを押したり、歩いたり、走ったりして約束の時間に間に合わせたり、筋膜を動かしたり、本に手を伸ばしたり、恋人と官能的に触れ合って休んだりするために、自分の骨の重さに身を任せることを可能にしてくれる大地なのかもしれません。


関係性の中で全身に意識を向けるという「イールド」の活動的な性質は、すべての動きのパターンの基礎となるものです。大人になると、「ゆだねる」ことは、自分や他人、そして物理的な世界との親密な接触をサポートします。最も基本的なレベルでは、"イールド "とは、重さを感じ取り、それを許容することです。この動作は、物質としての身体と、自分が組み込まれている重力の場との間の原初的適応関係をサポートします。


以下の参考文献から一部抜粋 


Agneessens, C. and H. Tahata 2012 Jun. “Yielding: Engaging Touch, Presence, and the Physiology of Wholeness.” Structural Integration: The Journal of the Rolf Institute® 40(1):10-16."

https://www.facebook.com/801689726571974/posts/5535971536477079/?d=n

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