出発点



宮崎駿さんが書かれた「出発点 1979~1996」という本の中の「コナン」のインタビューに「人間が変化する」ということについての文章があります。

「人間が変わっていくということがどういうことなのかというと、その人間が変わりたがっているから変わるのだという事しかいえない」

「人が変わるっていうのはどういうことかといったら、突っ張ったまま変わるんじゃなくて、突っ張らなくても済むような気持になることだと思うんです。どうしたら突っ張らなくて済むかって言ったら、その人間が突っ張っていることを非常に深く理解してくれる人がいて・・・なぜその人が突っ張っているか克明に知ったわけじゃなくて、その人間の表面の奥にあるものを理解する人が現れると、その人間が変わり得るんじゃないか。ひとつのバリケードを自分で壊すことができるというのかな・・・」

宮崎さんは「理解」と書かれているけれど、私はそれはどちらかというと「理」ではないかもしれないなと思います。人間が深く悲しんだり苦しんだりしているとき、飼っている犬や猫がそっと寄り添ったり慰めに来てくれたりすることがあるでしょう。言葉や理屈でそれを取り出して操作したりするのではなくて、ただそこにあるものに寄り添う感じ。あれが私の中では宮崎さんが書かれている「理解」に近い。

その人の内側から起こる変化は素敵です。凍り付いた大地に春が訪れて花が咲いたり雪解け水が流れ出すように、その人自身だけでなく、周りの人たちにも春を連れてきてくれるように思います。

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